Event Report開催報告
「九州大学エネルギーウィーク2023」を開催しました。
開会の挨拶をする石橋総長
令和5年1月30日(月)から2月3日(金)にわたり、「エネルギー分野の英知が垣根を越えて結集 総合知で切り拓くエネルギーとエネルギーセキュリティの未来」をテーマに、エネルギーに関するシンポジウム「九州大学エネルギーウィーク2023」を開催しました。
このシンポジウムは、学内外のエネルギー関連組織が連携して国際ワークショップ、産学官連携ワークショップ等を開催するもので、エネルギー研究者の国際的なハブ機能を担う交流の場としての役割を果たしています。
第7回目となる今回は、オンラインと対面を織り交ぜたハイブリッド形式で開催し、国内外で活躍している研究者を始め、幅広くエネルギーに関わる研究を行っている研究者、学生、産業界、行政関係者等多くの方々が講演や研究発表を行い、延べ約2,000名の参加がありました。今回は、初めて、公益財団法人九州先端科学技術研究所(ISIT)と福岡市による「九州大学-ISIT-福岡市連携グリーントランスフォーメーションシンポジウム」が開催され、世界的に大きな注目を集める脱炭素をいかにビジネスと結びつけるか、具体的な企業の取り組み等を交えながら紹介いただきました。
<エネルギー研究教育機構(Q-PIT)>
(1/30 Q-PITプレナリーセッション)
石橋総長によるご挨拶で開会し、一般財団法人日本エネルギー経済研究所(IEEJ)下郡けい主任研究員より「ウクライナ危機を踏まえたエネルギー安全保障強化に向けた欧州の取り組み」、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)末森洋紀企画調整部長より「激変するエネルギーを巡る情勢を踏まえたJOGMECの挑戦」と題して講演いただき、現地参加およびオンライン視聴を含め、約60名の方々に聴講いただきました。
IEEJ下郡様 ご講演
JOGMEC末森様 質疑応答
(1/30 Q-PITフォーカストセッションA)
フォーカストセッションAでは、エネルギー研究教育機構・林教授から脱炭素エネルギー先導人材育成フェローシップの概要説明を行った後、基調講演として元American Honda Motor 環境・安全担当 SVP 安岡 章雅様より「環境ビジネス開発 ~脱炭素を目指して~」と題して講演いただき、現地参加およびオンライン視聴を含め、約130名の方々に聴講いただきました。
元米国Honda Motor安岡様 ご講演
会場の模様
(1/30 ポスター発表会)
基調講演後に、脱炭素エネルギー先導人材育成フェローシップ フェロー23名、宮本淳弌水素研究奨励賞受賞者 4名、令和4年度エネルギー研究教育機構「若手研究者・博士課程学生支援プログラム」採択者・受賞者26名によるポスター発表会を行いました。3年ぶりに対面で行われた質疑応答は白熱し、活発な意見交換が行われました。
ポスター発表会の模様
(1/31 Q-PITフォーカストセッションB)
フォーカストセッションBでは、エネルギー研究教育機構・松﨑教授より本機構における脱炭素エネルギー研究について概要説明を行った後、脱炭社会の実現を目指し、自然科学系と人文科学系の分野の垣根を越えた研究を実施する学際研究チームであるモジュールより、当該モジュール研究の概要および進捗について報告を行いました。また、特別講演として西部ガス株式会社の中間和英カーボンニュートラル推進部長より「西部ガスグループにおけるカーボンニュートラル実現への取り組み」と題して講演いただきました。パネルディスカッションでは、中間和英氏に加えて京セラ株式会社の小野孝氏にも登壇いただき、本機構の教員と活発な意見交換が行われました。現地参加およびオンライン視聴を含め、約90名の方々に聴講いただきました。
西部ガス中間様 ご講演
モジュール長による発表
パネルディスカッション
<九州地区再生可能エネルギー連携委員会>
(2/2 再生可能エネルギー連携フォーラム)
2021年に九州・沖縄地区の11国立大学で発足した「九州地区再生可能エネルギー連携委員会」の活動の一環として、「第2回 再生可能エネルギー連携フォーラム」を開催しました。本フォーラムでは、九州地区の5大学より大学間連携による再生可能エネルギー人材養成に関する取組発表を行いました。パネルディスカッションでは、2050年カーボンニュートラル社会実現に向けて取り組むべき研究課題や地域における社会的課題、教育面での再生可能エネルギー等に関する取り組み、ゼロカーボンキャンパスに関する取り組み、教育面でのネットワークづくりに関する取り組み、今後の大学間連携の方向性などについて、活発な意見交換が行われました。現地参加およびオンライン視聴を含め、約80名の方々に聴講いただきました。
パネルディスカッション
集合写真
<公益財団法人 九州先端科学技術研究所(ISIT)>
(2/1 「九州大学-九州先端科学技術研究所(ISIT)-福岡市 連携グリーントランスフォーメーション(GX)シンポジウム ~福岡発脱炭素をビジネスに!~」)
2月1日(水)にアクロス福岡 大会議室にて、「九州大学―ISIT―福岡市連携 グリーントランスフォーメーション(GX)シンポジウム~福岡発 脱炭素をビジネスに!~」を開催しました。本シンポジウムでは、脱炭素やカーボンニュートラルをテーマにした2題の基調講演を行い、また、福岡市・九州先端科学技術研究所(ISIT)による市内企業の脱炭素ビジネスへの取組み支援の紹介や福岡グリーンイノベーションチャレンジ事業採択企業の脱炭素ビジネス事例報告が行われ、計84名の参加がありました。
ISIT山田所長 開会挨拶
会場の模様
<九州大学水素材料先端科学研究センター(HYDROGENIUS)>
(2/2 九州水素・燃料電池フォーラム&水素先端世界フォーラム、2/2-3 シンポジウム、合同シンポジウム)
2月2日(木)、3日(金)の2日間、九州大学水素材料先端科学研究センター(HYDROGENIUS)は九州経済産業局、福岡県と共催で「九州水素・燃料電池フォーラム&水素先端世界フォーラム2023 ~水素社会実現に向けた中堅中小企業の可能性と知財活用・社会実装への取り組み~」を開催しました。弊センターでは、水素エネルギー社会の実現に向けて水素材料に関する先端科学技術の研究を行っています。また、得られた知見を学会・研究者のみならず、広く産業界へ普及するための活動も行っています。
2007年から毎年、関係各機関と連携して「水素先端世界フォーラム」を開催してきました。コロナ禍からWithコロナ時代となり新しい生活様式の実践が進み始めたことから、本年はオンライン配信に併せて3年ぶりに会場に聴衆を入れて開催することができました。これは開催当初より情報発信のみならず交流の場として重要な役割を担ってきたフォーラムとして次に繋がる大きな成果となることを期待しています。技術分野毎のシンポジウムにおいては、国内外の研究者が最新の研究成果を発表し、専門的で活発な質疑応答が繰り広げられ、2/2のフォーラムに434名、2/2~3の研究シンポジウムに355名(重複除く)、2日間で延べ約789名の方々に参加いただきました。
HYDROGENIUS 研究シンポジウム
<カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER)>
(2/1 I²CNERアニュアルシンポジウム、1/31 I²CNER-IMI国際ワークショップ、2/2-3 I²CNER Thrustワークショップ、CESDキックオフワークショップ、SOIFIT, The Final Seminar)
2月1日(水)にI²CNERアニュアルシンポジウム「Optimal Transitions: From Laboratory Research to the Carbon-Neutral Energy Markets」が開催されました。本シンポジウムでは、カーボンニュートラル技術の社会実装を加速するためI²CNER内に設立された、三井化学カーボンニュートラル研究センター(MCI-CNRC)が設定する4つの研究領域に沿って、最新の研究成果が発表されました。アメリカ・ヨーロッパ・アジアの研究機関から世界トップレベルの研究者が招へいされ、それぞれの立場から活発な議論が行われました。1月31日(火)のI²CNER-IMI国際ワークショップは「Engineering and Mathematics: Where Do We Meet?」と題して開催され、重力環境下における予混合火炎動態研究の最新動向などについて発表があり、実用と理論双方から議論が交わされました。 2月2日(木)のI²CNER Thrustワークショップは、「Toward Carbon Neutrality」と題して開催されました。3つの研究Thrustからカーボンニュートラル技術に関する最新の成果が共有され、活発な意見交換が展開されました。 2月2日(木)・ 2月3日(金)には令和4年11月に設立されたエネルギーシステムデザイン研究センター(CESD)のキックオフワークショップが開催されました。6つの研究チームによる発表があり、学外の連携教員も参加し、活発な意見交換が行われました。2月3日(金)の「SOIFIT, The Final Seminar」では、プロジェクトメンバーによりこれまでの研究成果が共有され、プロジェクトの集大成となりました。今回のシンポジウム・ワークショップでは、4日間で約400名の方々に参加いただきました。
I²CNERソフロニス所長 開会挨拶
コーヒーブレイク
集合写真
<九州大学COI>
九州大学COI 持続的共進化社会シンポジウム
(1/28 九州大学COI 持続的共進化地域創成拠点シンポジウム)
1月31日(火)にオンラインにて、COI研究会としては第1回目となる「持続的共進化社会シンポジウム」を開催しました。COI研究会は、昨年度まで実施してきたCOI拠点におけるビジョン主導型の研究開発を継承し、社会実装の成果をさらに展開するために活動しており、本シンポジウムではこれまでの取り組みのその後について、各部会より具体的な事例の紹介を行い、学内外から約50名の方々に参加いただきました。
<工学研究院 化学工学部門>
Tunghai University, Lin教授 ご講演
(2/2 化学工学部門 特別講演会)
2月2日(木)に工学研究院 化学工学部門 特別講演を開催し、台湾のTunghai University Jeng-Yu Lin教授をお招きし、太陽電池、二次電池等のエネルギー分野における各種電極材料の合成法として、電解合成技術を用いた新規材料開発の取り組みを紹介いただきました。電解条件(電位、パルス変動、電解液条件表面改質、その他前処理)において、合成される粒子の幾何形状を可変するメカニズムを理論とともに説明いただき、その合成粒子による電池性能の向上についても紹介いただきました。
また、半導体分野への応用事例も紹介いただき、研究のみならず、昨今問題となっている半導体の社会情勢に関して、台湾、日本、世界の状況も説明いただきました。講演会の最後には、電解技術手法やそれら粒子形態評価への数値シミュレーション技術の展開可能性についての質疑応答が行われ、白熱した意見交換が行われました。学内外から約30名の方々に参加いただきました。